ゴム

ゴム(natural rubber)の特徴

取引所:大阪取引所

ゴムの特徴は何といっても、季節的な習性に強く影響されることです。ゴム樹が落葉する3月から4月にかけては採液量がもっとも減少して需給が引き締まり、その結果、傾向的に天然ゴム価格が値上がりしやすく、一方、秋から翌年1月は雨期で採液量が増えます。従って、需給が緩和して価格が値下がりしやすい傾向が見受けられます。また、消費面では世界最大の天然ゴム消費国である中国、更にはインド、ブラジルなど新興国の新車販売などからも目を離せません。もちろん、日米欧の景気動向や天然ゴムと競合関係にある合成ゴムが原油価格の影響を直接受けますので、勢い、価格変動が大きくなるのも特徴といえましょう。

「ゴム(natural rubber)」に関連するマーケット情報

価格変動要因

供給サイド

1.季節的に供給量が変化

ゴム樹は多年性の植物で1年中採液が可能です。しかし、ゴムの木が落葉する3月から4月にもっとも採液量が減少し、これを“減産期”と呼んでいます。それに対して雨期の11月から翌年1月までは採液量が増える“増産期”になり、需給が緩和する傾向があります。


2.タイが世界最大の天然ゴム生産国

世界の天然ゴム生産量は1,100万トン前後(国際ゴム研究会資料)ですが、最大の生産国はタイの350万トン弱、インドネシア290万トン強、マレーシア110万トン、インド90万トン弱、中国68万トン弱となっています。近年の東南アジアでは異常気象に見舞われ、大雨・洪水が長く続き、採液作業に支障が出て生産に影響を与えたことも少なくありません。


3.原油価格の動きを注視

日本の新ゴム使用比率は天然ゴムが40%強、合成ゴムは60%弱を占めます。合成ゴムは原油を原料としていますから、原油価格の動きにも影響を受けます。


4.日本向けのオファーや為替相場も影響

タイは世界天然ゴム生産量の32%ほどを占め、世界トップの座にあります。セントラル・マーケットへの集荷量が生産者の姿勢を見るバロメーターとなり、日本向けのオファー(売り提示値段)が輸入採算価格の指標となっています。為替相場の変動も輸入採算価格を大きく左右し、円安は輸入コストをアップ、逆に円高は輸入コストをダウンさせます。

需給サイド

1.驚異的な中国の天然ゴム消費量

世界の天然ゴム消費量は1,100万トン(国際ゴム研究会資料)を上回り、年々伸びています。世界最大の消費国は中国で390万トン、次いでインド100万トン強、米国90万トン、日本80万トン、マレーシア50万トン弱となっています。なかでも、中国の消費量は2004年のほぼ倍に達しており、その驚異的な伸びは無視できません。


2.BRICsの経済成長で消費増加

中国の新車販売台数は2,000万台に達するとの見方もあり、インド、ブラジル、ロシアの、いわゆる、BRICsの経済成長による新車販売の伸びは天然ゴム消費増加に大きく寄与しています。天然ゴム価格が史上最高値に達した一因には新興国を中心とした新車販売増加、天然ゴム消費増大があります。


3.米国を中心とした景気動向

米国を中心とした世界の景気動向や主要国の株価、更には通貨供給量、為替相場など金融市場の動きもウォッチする必要があります。ニューヨークダウ、日経平均などの動きにも影響を受けます。


4.上海市場の動きから目を離せず

ゴム相場を見るうえで、シンガポールやタイの動きもさることながら、上海市場の動きが東京市場に強いインパクトを与えます。


5.出来高と取組高の増減を知る

東京ゴムの出来高と取組高は内部要因を見るのに役立ちます。出来高が通常の2~3倍に達した時には、相場転換のキッカケになることもあります。取組の増加は投機資金の流入、逆に減少する場合は投機資金の流出を意味し、弱材料とされることもあります。

投機的な動き

天然ゴム先物取引は特に納会に向けての動きが注目される銘柄の一つに数えられます。これには幾つかの理由がありますが、一つは一般投機家であっても荷物を受けることが可能な商品であるためです。ただ、受渡し供用品には期限があり、古い荷物は市場で渡せなくなりますから、実需と繋がりのない一般投機家は期限切れの荷物を受けるわけにはいかないという事情があります。そのため、どの程度の量・品質の荷物が渡されるのかを占う意味で、納会前に発表される事前検査の結果が注目されることになります。

主材料の発表予定

世界需給

材料 発表予定 発表機関
天然ゴム世界需給予想(年次) 毎年春 IRSG
天然ゴム世界需給(月次) 毎月 IRSG

国内需給

材料 発表予定 発表機関
国内新ゴム消費予想 1月下旬 日本ゴム工業会
国内ゴム需給統計 毎月 日本ゴム工業会
全国天然ゴム営業倉庫在庫 毎月、6日、16日、26日 日本ゴム工業会
全国天然ゴム営業倉庫在庫 毎月、6日、16日、26日 日本ゴム工業会
天然ゴム輸入通関実績 毎月下旬 財務省
国内ゴム製品出荷推移 毎月 経産省
国内自動車生産台数 毎月下旬 自動車工業会
世界自動車生産台数 毎月下旬 自動車工業会
国内新車登録台数 毎月 日本自動車販売協会

価格データ

材料 発表予定 発表機関
タイ・天然ゴム輸出オファー 毎日 豊トラスティ証券調べ

備考・注意・他

略称 正式名称
TTR タイ・テステッド・ラバー(タイ産ブロックゴム)
SIR スタンダード・インドネシアン・ラバー(インドネシア産ブロックゴム)
SMR スタンダード・マレーシアン・ラバー(マレーシア産ブロックゴム)
IRSG 国際ゴム研究会

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